東京高等裁判所 昭和41年(行ケ)10号 判決
本件における唯一の争点は、措置令第二十条第一項但書の規定に基づき、さきにその登録を取り消された商標に係る指定商品と同一の商品についてする、その商標と同一の商標の登録の出願について、旧商標法第一条第二項の適用があるか否かということであるから、以下この点について検討する。
措置令第二十条は、同令にいう「ドイツ財産」たる商標権に関し、商標の登録の例外を定めたものであるが、第一項本文において広く同令第二十九条第一項において準用する同令第五条第四項の規定により、その登録を取り消された商標と同一又は類似の商標で、その登録を取り消された商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものについては登録をしない旨を規定するとともに同項但書においてその例外について規定し、かつ、同条第二項ないし第五項において、右例外のうち第一項但書各号に掲げる者のする出願について旧商標法中の登録要件に関する規定のうち同法第二条第一項第八号ないし第十一号および同法第四条第一項の規定の適用除外を定めているけれども、その他については特に定めるところがない。このように一般法たる旧商標法が商標の積極的および消極的登録要件として掲げる事項のうち特定のものの適用を除く旨を定めている場合には、その余の登録要件に関する規定については、当然その適用があるものと解さなければならない。
原告は、措置令の趣旨とするところは、同令にいう「ドイツ財産」たる商標権につき権利の維持回復をはかるため、同令に基づく出願につき特別の措置を定めたものであつて、右出願については、旧商標法上の一般的登録要件規定である同法第一条第二項の規定の適用はない旨主張するけれども、措置令をもつて原告主張のような趣旨のものと解すべき法文上の根拠を欠くのみならず、他に右の趣旨を推知させるに足りる何らの資料もないから原告の右主張は採用できない。
以上の説示によれば、旧商標法第一条第二項の規定を適用して本件商標の登録出願を拒否すべきものとした本件審決には原告主張のような違法のないことは明らかである。